こんにちは、Studio TOMODYスタッフのしゅーへいです。 今回は、映像収録の思わぬトラブルから自分を救ってくれた「Lumix Repair Tool」をご紹介します。
誤って収録中のカメラの給電ケーブルを抜いてしまったり、収録を切らずにバッテリーを抜いてしまったりといった経験があるという方も多いのではないでしょうか。 そうした場合、収録中のデータが破損し、簡単には開けなくなってしまうケースが少なくありません。
こうした事態に備え、メーカー公式の救済手段として提供されているのが、今回ご紹介する「Lumix Repair Tool」です。
ダウンロード可能なのがLUMIXの一部機種ユーザーの方に限られてしまい(詳しくは後述)、ちょっとした下準備も必要ですが、簡単な操作で問題なくデータの修復が行える、おすすめできるツールだと感じました。
今まさに謎のファイルを前に頭を抱えている方は、ぜひご一読ください。
経緯
先日、LUMIX GH5M2を使って動画を収録していたところ、誤って給電ケーブルを踏んでしまい、ACアダプターがDCカプラーから抜けてしまいました。大変まずい。やらかしです。
結果、SDカードの中には.mdtという見たこともない拡張子のファイルが残っており、収録した動画は消えてしまった……かと思われましたが!
なんとか修復できないかと調べてみると、ちょうどその前週に破損した収録データを修復するためのツールが更新されており、しかもLUMIXの公式ツールだというではありませんか。
他にも複数のフリーソフトを用いるなどいくつか修復の手段はありそうでしたが、メーカー公式という信頼性もあり、僕はその「Lumix Repair Tool」に縋ることにしたのでした。
使用方法
それでは、ここからは実際に「Lumix Repair Tool」を使うにあたっての手順を紹介していきます。
1. ダウンロードページへアクセス
まずは、https://av.jpn.support.panasonic.com/support/software/lumix_repair_tool/index.html へアクセスし、ツールの利用にあたって確認すべき事項をチェックしていきましょう。
2. 諸条件の確認
Lumix Repair Toolを利用するにあたり、事前に確認しておくべき点は以下の通りです。
・修復対象ファイルの拡張子が「.mdt」である ・MP4(音声:AAC)、AVCHD形式で記録されたファイルは復元できない
・修復には参照用の正常な動画ファイル(後述)が必要 ・Windows10(1903以降)の環境がある
※当ブログによる検証の結果、Win11環境でも正常に動作しました。
・作業領域の確保(目安は修復対象ファイルの容量の3倍程度)
・シリアルコード認証の対象機種(DC-S1R、 DC-S1、DC-S1H、DC-S5)を所持している
※対象機種底面に記載のシリアルコードをフォームに入力しないとDLできません。
ダウンロードページにはさらに詳細な解説がありますので、気になる方はそちらも参照しておくとよいでしょう。
3. ツールをダウンロード
上記の条件をクリアしていれば、ダウンロードに進みましょう。
まずは「ソフトウェア使用許諾」に同意。
手元の機種を選択し、製造番号を入力します。
zipファイルがダウンロードされましたね。これを開いていきます。
Windowsにブロックされますが、これは無視してOK。「詳細情報」→「開く」を選択します。
4. サンプルファイルを用意
これでツールを開くことはできたわけですが、修復に入る前にもう少し下準備が必要です。
ツールのウィンドウを見てみると、「動画ファイル」という欄があります。
修復に進むためには、この「動画ファイル」欄に、破損したファイルとは別の、正常に記録された動画ファイルを入れる必要があります。
また、この動画ファイルには色々と条件があり、「修復対象と同じ記録形式(MOV/MP4)・同じ音声形式(LPCM)・同じ撮影画質」で、かつ「1秒程度」とのこと。
ただ、今回はトラブルの前後に同じ設定で撮影した40秒程度のMOVデータが残っていたので、試しに入れてみたところ、正常に動作しました。動画の長さについては、数十秒程度なら気にしなくても良さそうです。
編集ソフトなどで短くカットした動画を使うと、かえって動作が不安定になる場合があるので、短めの動画がない場合は撮影時の設定を再現して新しく撮るのが良いかもしれません。
5. ファイルの修復
さて、それではようやく修復です。
まずは修復したいMDTファイルを「MDTファイル」欄にドロップ。右端の「…」をクリックしてファイルを参照することもできます。
続いて、先ほど用意した正常な動画ファイルを「動画ファイル」欄に入れます。
すると、出力ファイル名が自動で設定されます。本来作成されるはずだったファイル名に「_Repair」が加わった形ですが、変更したい場合はツール上での編集も可能です。
右下の「修復」ボタンをクリックすると修復が始まります。簡素なプログレスバーがあるので目安にしつつ、気長に待ちましょう。
6. 結果の確認
しばらく待つと……
このような画面に遷移し、修復完了となります。
警告のような見た目のメッセージが出ていて一見ビビりますが、これで正常に修復が完了しています。
ちなみに、処理中のファイルに問題があった場合などはツールが落ちてウィンドウ自体が消えるので、目を離していたらウィンドウがなくなっていたという場合は、何かを改善する必要があります。
動画ファイルを推奨されている仕様に近づけたり、作業領域を確保したりなど対応してみてください。
自分も最初はエラーで落ちましたが、ダウンロードページの記述を参考に試行錯誤していたらなんとかなりました。
レビュー
ここまで使用方法をお伝えしてきましたが、ここからは実際使ってみてどうだったかというところを語っていきます。
安心感
まずは、何と言っても「存在していてくれてありがとう」という気持ちが強いです。笑
ミスによって破損させてしまった収録ファイルが蘇るというだけでありがたいのですが、それがメーカー公式でシンプルなアプリケーションとして用意されているというのは一段と安心感がありますね。
敷居の狭さ
一方で、イマイチな点もいくつかあります。
まず、MacOSに非対応な点。僕はオフィスでWindowsマシンを使っていないので、自宅に持ち帰っての作業となりました。それくらいならまだいいですが、何にせよWindowsマシンをお持ちでない方には厳しい条件となっていますね。
また、それ以上に厳しいのが対象機種の少なさ・敷居の高さです。
すでに触れたように、このツール、ダウンロードページの認証欄で対象機種の製造番号を入力しないとDLできないようになっているんですよね。 それも、LUMIXの中では比較的上位の機種ばかりです(マイクロフォーサーズ機はいずれも対象外)。
僕が修復しているのは認証対象外の機種であるGH5M2やBGH1で収録したファイルなので、他の機種にも使えるなら尚更もっと幅広くダウンロードできるようにしてあげてもいいのでは?と思ってしまいました。
制約の多さ
続いて、ファイルに関わる「制約の多さ」も気になるところです。
中でも、「動画ファイル」として必要になる動画は、「修復対象と同じ記録形式(MOV/MP4)・同じ音声形式(LPCM)・同じ撮影画質」で、かつ「1秒程度」と、かなり事細かに規定されています。
自分は最初、1秒前後というところにこだわり、各種編集ソフトで1秒きっかりに切り抜いた動画を使ったのですが、書き出しを経由したからかツールが正常に動作しませんでした。
結局、カメラで撮ったまま加工していない40秒程度の動画を使ったところ動作してくれたので、動画の長さよりも本来のファイル形式を保持していることの方が重要なのだと思われます。
動画ファイルを手軽に用意するには、トラブル時の設定を再現して短い動画を新しく撮るのが良いかもしれませんね。(逆に言うと、設定を忘れてしまって、他に短めの動画がない場合は……沼かもしれません!)
まとめ
以上、「Lumix Repair Tool」の使い方をご紹介しました。 総括すると、「非常にありがたいが、制約の多いツール」といった感じでしょうか。
久々の更新となってしまいましたが、お役に立つ記事になっていれば幸いです。
次回は面白いスマホアプリを使ってスタジオ内で遊んでみようと思います。
ではまた!